「つぶてソング」とは、東日本大震災の直後、福島在住の詩人・和合亮一氏がTwitterに投稿した始めた一連の詩「詩の礫(つぶて)」に心を動かされた新実徳英先生が、東北の復興を願い作曲された曲集です。
フォーラム21では2012年、2013年の定期演奏会で全曲を演奏しました。また、2013年3月のドイツ演奏旅行では、ドイツ語版「つぶてソング」をドイツの皆さんに聴いていただくことができました。
1. あなたはどこに |
2. フルサト |
3. 放射能 |
4. 燃えあがろう |
5. 許せるか、あなたは |
6. 誰もいない福島 |
7. なぜ生きる |
8. 涙が泣いている |
9. 失うことは悲しい |
10. 夢があるのなら |
11. 街をかえせ |
12. 重なり合う手と手 |
作詞:和合亮一
作曲:新実徳英
フォーラム21少年少女合唱団 第19回定期演奏会
日時: 2012年3月25日(日)
場所: 三井住友海上しらかわホール(名古屋市)
指揮: 新実徳英
ピアノ: 吉田雅博
録音: カメラータトウキョウ
『叩き蟹』公演中の三遊亭圓窓師匠とフォーラム21
『叩き蟹(たたきがに)』は本来、落語の演目の一つですが、ここでの『叩き蟹』とは、フォーラム21が中川いずみ先生に委嘱した落語と合唱のコラボ曲です。落語家の三遊亭圓窓師匠を招いて2008年の第15回定期演奏会で初演されました。格言『情けは人のためならず』の本当の意味を考えさせられるストーリーです。落語としても面白い作品ですが、そこに合唱団の歌声や動きが加わることにより迫力のあるコラボ曲が生まれました。短いフレーズのソロを多く取り入れているのが特徴の曲で、ソリストは立候補により選ばれました。短いフレーズとはいえ、ソロを歌った団員たちの自信に大きくつながったのではないかと思います。好評により名古屋・東京・一宮で公演を行っています。(名古屋・東京ではNHK東京児童合唱団と共演)
初演:2008年 第15回定期演奏会
作曲:中川いずみ
落語:三遊亭圓窓
指揮:加藤洋朗
二十五絃箏:小宮瑞代
打楽器:小玉麻依
演出:水野誠子
1. 三遊亭圓窓師匠出囃子:落語と合唱 |
2. はなせっ!はなせってば! |
3. あの人は誰? |
4. 芳坊(よしぼう)のはなし |
5. ヤダモーン!! |
6. 黄金餅つき唄 |
7. 旅人、お餅がなかなか喉を通らん |
8. ありゃりゃ?ない! |
9. 蟹 拵える |
10. こん畜生め! |
11. 叩き口上 |
12. あれから二年 |
13. あッ!親蟹 |
14. 蟹のおじさん |
15. 情けは人のためならず |
16. 無名有魂 |
17. 飛騨高山の匠 左甚五郎利勝 |
18. 情けは人のためならず:エピローグ |
東大寺二月堂の修二会(お水取り)
仏典に節をつけた仏教音楽のことを声明(聾明){しょうみょう}といいます。『春光悔過{しゅんこうけか}』は、この声明を合唱曲にした作品です。2003年にフォーラム21少年少女合唱団が作曲家中川いづみ先生に委嘱し、第10回定期演奏会で初演していますが、2014年3月の第21回定期演奏会でこの『春光悔過』をフォーラム21少年少女合唱団が再演することになりました。
再演にあたって、2003年初演時の中川先生の解説を読んでみましょう。
近年、頓に日本の声明の音楽的価値が見直されています。本来、声明は仏教に於ける学問(五明)の一つで、言語、文典の学問であり、インドの詠法による歌唱でもあります。暗い伽藍の中、静浄な空気を凛と震わせて朗朗と響く僧達の読誦の美くしさは、グレゴリオ聖歌と対比されます。
今回「児童合唱のための声明」の作曲のお話しを頂きましたが、私は僧でもなく一介の音楽家です。1300年もの問、厳しい作法を守リ、脈々と受け継がれた歴史を知りながら、浅はかな知識で新たに声明を作る勇気はとてもありませんでした。
そのため、比較的変化に富んだ東大寺の修二会{しゅにえ}(お水取リ)の法要を土台に途中、仏教的な教えを感じさせる金子みすゞ氏の詩による献歌を挿入し、あくまでも「音楽」と言う観点でまとめたのがこの「春光悔過」です。
東大寺のお水取りは正式には「十一面悔過法要」と言い、我々人間が本性的に持つ三毒(むさぼり、怒り、愚かさ)により、様々な罪を犯し不幸の種を作っている、その罪過を練行衆自らも、又全ての人々に代わって東大寺二月堂のご本尊である十一面観音菩議に懺悔し、清浄な心身になり、犯した悪業の報いである禍を取り除き、幸福を招く為の法要です。このお水取りが終われば春が訪れると言う訳で「春光悔過」と名付け、十一面にちなみ十一曲から成ります。
一、供養文{くようもん} | 法要の始まりを宣げます。 |
二、如来唄{にょらいばい} | 次の「散華」と共に梵唄の一つ。如来様に絶対帰依を誓います。 |
三、散華{さんげ} | 法要の場を荘厳する為、本来歩きながら唱える行道。 |
四、献歌{けんか} | 「土と草」金子みすゞ作詞 |
五、献歌{けんか} | 「ぬかるみ」金子みすゞ作詞 金子みすゞさんの詩はいつも「あ、こんな見方、感じ方があるのだ」とハッと大切なものを思い起こさせてくれます。 |
六、称名悔過{しょうみょうけか} | 次の「宝号」と共に最も重要な部分。観音様、そして観音様にまつわる仏名を唱え、諸々の有情、つまり生きとし生けるものへの慈悲を願います。 |
七、宝号{ほうごう} | 皆から「ナムカン」と称せられ親しまれている。 |
八、五仏御名{ごぶつごみょう}/大懺悔{おいさんげ} | 本来別々である二つの次第を同時に組み合わせたもの。 |
九、摩訶般若波羅密多心経{まかはんにゃはらみたしんぎょう} | 「法華経」と並び最も有名なお経。「全ては空(実体の無いもの)である。」と説いている。修二会では後行道になる。 |
十、廻向文{えこうもん} | 廻向とは果報や善業の功徳を皆にふり与えることを意味し、練行衆達の苦行の功徳を万民にふり与え、法要を締めくくる。 |
十一、終曲「南無三宝{なむさんぽう}」 | 「南無三宝」と唱えながら練行衆達が退堂することを想定して作曲。三宝とは、仏・法・僧のこと。 |
2003年当時、「春光悔過」を練習中の団員から声明について素朴な疑問があり、宇野代表が答えてくれています。以下にその内容を再掲します。
般若シンギョウを歌にしちゃっていいの?ありがた~~いお経?歌ってると気持ちがどよどよするんだけど。気のせい?
(もこもこピカリンさんより)
もこもこピカリンさん、とっても素晴らしい質問をいただきありがとうございます。
宇野さんが、自分の問題としてとらえ直して答えを寄せてくれました。
今、合唱団が採り上げているのは、中川いづみ作曲“春光悔過”。作曲者はこう楽譜に書いています。
“「春光悔過」は我々が過去・現在・未来に犯す(した)様々な過ちを十一面観音にざん悔し、それらの報いである禍や災難を除き幸福を招く為の法要である東大寺修二会がベースになっています。この修二会が終わると奈良に春が訪れるとの事で「春光悔過」と名付けました。”
ところで、今、子供達が歌っている多くの音楽は主に西洋音楽に規範を置いています。これは簡単にいうとキリスト教的な音楽です。今、世界中がややもすると西洋音楽に収斂されるように思えるのです。本当にこれがいいのでしょうか。そこで、日本は、日本の、アジアはアジアの気候・風土に合った音楽があったのでは、又、あるのではないでしょうか。明治維新前の日本、西洋文化を積極的に採り入れる前の日本。そこでの音楽はどのようなものだったのでしょう。
1200年以上続けられている修二会。人間の営みにとって1200年は長い、とてつもなく長い。この間、灯を消さずに続いてきたこの行事。携っていた人たちは、順風、逆風、それこそ無関心のいろいろな場面で、どんな思いを覚悟で続けてきたのか。又、これ程長く続いてきた原動力とは何か、魅力とは何か。その一端を音楽面から採り上げてみよう!!それは又日本を知り、日本を味わう事になると思って。
声明は日本の歌です。そして祈りです。
大いなる自然の内で生かされている自分。自然に対する畏敬、畏怖。そして、自分をみていてくれるであろう大いなるものへの感謝、そういう文化を楽しみ味わうのです。
今の子供達の多くにとって日本の昔からの歌は異文化なのでしょう。今、自分探しが始まるのです。
2014年3月8日、合唱団メンバーで東大寺修二会(お水取り)見学に行ってきました。
高校2年生水野さんのレポートです。
おやつのうた (作詞:フォーラム21、作曲:名田綾子) カワイ出版
コンサートの打ち上げで指揮の田尻先生が、お菓子を意味するスウィーツ(sweets)と組曲を意味するスウィート(suite)を掛けて曲を作ってはどうか?という発言をしたことがきっかけで誕生した曲集。歌詞をフォーラム21の中で募集して、名田先生が曲をつけたものです。『おやつのうた』、『チョコっとだけ』、『半分こ』、『あめ玉なみだ』、『パンナコッタ!なんてこった!』、『わたがし』、『世界を食べちゃおう』の全7曲があります。
幅広い世代が在籍しているフォーラム21と名田先生とだからこそ生まれることのできたバラエティー豊かな楽しい曲集です。
1. おやつのうた* | |
2. チョコっとだけ* | |
3. 半分こ | |
4. あめ玉なみだ* | |
5. パンナコッタ!なんてこった!* | 音源なし |
6. わたがし | 音源なし |
7. 世界を食べちゃおう* |
*カワイ出版の楽譜には*が付いた5曲を収録
フォーラム21少年少女合唱団 第19回定期演奏会
日時: 2012年3月25日(日)
場所: 三井住友海上しらかわホール(名古屋市)
指揮: 田尻真高
ピアノ: 名田綾子
録音: カメラータトウキョウ